From:秋山大介
「おれは野球がしたいんだ!」
と、私の目の前の男性は叫びました…「ファールチップで上手くいっても仕方ないんだ!」と、続けて叫びました…いや…叫びましたというのは冗談で…(汗)私の目の前の男性は「紳士に」この2つの言葉を言いました。
これは何の話かというと、こういう話でした。
「実は、過去に東京に進出しようとしたときがあってね。
でも、そうすることをやめたんだ。
なぜなら。。。
東京では、ファールチップみたいな当たりでも成功してしまから。
そんな環境でビジネスをしても面白くない。
俺は野球をしたいんだ。」
と。
私は、先日その方との共通の知人とともに、初めてお会いさせていただきました。私からすると、その方は、雲の上のような存在で、正直、このような形でお会いするとは思いもしませんでした。
だから、はじめに、この話があったときは、ビックリ!!!してしまい、本当に?と思ってしまったくらいです。そこから話が進み、大阪でお会いすることになりました。そして、あのような話が出たのです。
私は、あの話を聞いたとき…「う~ん、自分はなんて情けないんだ。東京に甘んじている。」と思いつつ、「確かにそうだな~。内装業は県外に進出していない。」と思いました。
ただ、「7:3」の比率で、情けないという気持ちが勝っていました。「確かに、安易に東京を主戦場にしてしまっている」と。そして、「あれだけ王道といっておきながら『手っ取り早く』を求めてしまった」と。
その方いわく、東京でビジネスをするのは環境が非常によく、野球で言えば、真芯で捉えなくても、ファールチップで勝ててしまうということでした。
ピッチャーで言えば、ボール球でも、相手が振ってくれて勝ててしまうというところでしょうか。とにかく、そういう状況が東京だということなのです。
確かに、そうかもしれません。例えば、セミナー会場が「東京」「大阪」とあったら、圧倒的に東京のほうが需要はあるでしょう。というように、東京には人もビジネス環境も集中しているので、結果を出しやすいということでしょう。
ちなみに、私がよく話に出す幼児教室のコンサルティングの発注主である経営者の方も、似たことをいっていました。
「足立区で結果を出せなければ、他の地区でも結果は出せない」
実際は、反対のことが起きます。例えば、千代田区、港区、目黒区のような地区のほうが、結果は出しやすいでしょう。でも、その方の話では、それではダメなのです。
「東京23区の中で、最も難しいと思われる足立区で結果を出せなければ、他の地区での結果はラッキーパンチに過ぎず、いつ倒れるかわからない」ということなのです。
そして、少し前に記事でお伝えした湘南の由比ヶ浜に、オフィスを出す経営者もこのようなことをおっしゃていました。
「ここじゃなきゃダメなんだ。他の地域のほうが上手くいくのはわかる。
でもそれではダメなんだ。
ここでも上手くいかせる実力をつけて、環境の良い地域にいかなければダメなんだ。」
と。全く同じことでしょう。ちなみに、私が情けないと思いつつ、30%だけ、そうだな~と思ったのが、私のこの考えでした。
「私たちは、取引先のゼネコンの受注が少ないからと言って、他のゼネコンにはいかない。
私たちは、県内に仕事が少ないからと言って東京に進出しない。
この状況でなんとかできなければ、会社として本当に実力があるとは言えない。」
自分を棚に上げて恐縮ですが、これもまた、同じ思考でした。確かに、この思考は、重要だと再認識しました。私がわかるところで言えば、建設業の下請け業者の中には、まるで政治家の「政界渡り鳥」「風見鶏」のように、吹く風に合わせていく業者も多数います。
でも、それをしたら私は終わりだと思い、私は社員に、こういっています。
「それをしなければならないときは、会社として存続する意味がないから、解散します。」
と。まさに、それをしたときは、ミッション、ビジョン、バリューなどの言葉では語れないもっと重たい
「信念」
を曲げることになります。なかなか、いう機会がありませんでしたが、私は小学校6年間、剣道をしていたこともあり、「武士道」の精神でいる部分があります。だから、信念を曲げたときは、終わり…そう、いつも心に誓っています。
それゆえ、会社が信念を曲げるときは、潔く「解散」の道を選択する気持ちでいます。かつて、私にこうお話ししてくれた人がいました。
「私の兄は交渉人ですが、負けることはほとんどないと言っています。
なぜだと思いますか?
それは、兄いわく、いつも気持ちは白装束を着て、負けたら切腹する覚悟で挑むから。」
もちろん、ここには行き過ぎた表現があるのは理解しています。でも、気持ちが伝わります。まさに、これが信念なのでしょう。
ミッション、ビジョン、バリューなどの言葉では語れない部分の信念…半分冗談で始まったファールチップの話でしたが、私にとって内省する、非常に良い機会をいただけました。この話をくださったお二人に感謝致します。
ー秋山大介